生活機能向上連携加算について詳しく解説!

■ はじめに

高齢化が進む日本において、介護サービスの役割は「生活の支援」から「自立支援・重度化防止」へと大きく転換しています。特に、通所介護(デイサービス)においては、要介護高齢者が住み慣れた地域でできる限り自立した生活を継続できるよう、医療・リハビリの視点を取り入れた支援が求められています。

そのような中で、重要な役割を果たすのが「生活機能向上連携加算」です。本加算は、通所介護事業所と医療専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が連携し、利用者一人ひとりの生活機能をアセスメントし、支援計画の立案・評価・見直しを行う取り組みを評価するものです。


■ 生活機能向上連携加算の概要

◎ 対象となるサービス

  • 地域密着型通所介護
  • 通所介護(通常規模以上)
  • 介護予防通所介護(総合事業含む)

◎ 加算の目的

  • 利用者の生活機能(歩行、排泄、食事、入浴など)を維持・向上させること
  • 専門職の知見を取り入れた質の高い支援の提供
  • 通所介護と医療機関・リハビリ職との協働体制構築

◎ 主な連携対象となる専門職

  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)

外部機関に所属している場合でも、契約を結んで連携を図れば加算対象となります。


■ 加算の算定要件

要件項目内容
アセスメント専門職が利用者を直接評価し、心身機能・活動状況などを記録する
個別計画の立案アセスメント結果に基づき、生活機能向上のための個別計画を作成
助言・評価専門職が職員へ具体的な助言を行い、支援状況を評価・フィードバック
ケアマネとの連携情報共有・共同支援の体制を構築(モニタリング含む)
定期的な見直し少なくとも6か月に1回は再評価と計画の更新が必要

※上記の一連の流れを文書で記録・保管することが必須です。


■ 加算の区分と報酬

加算区分内容単位数(月1回)
生活機能向上連携加算(Ⅰ)外部リハ職との連携(訪問なし)100単位
生活機能向上連携加算(Ⅱ)外部リハ職が定期訪問・助言を実施200単位

※加算Ⅱでは、専門職が現場に訪問し、直接的な助言・評価・支援があることが条件です。


■ 導入するメリット

✅ 医療的視点の導入による支援の質向上

通所介護に医療専門職の視点を取り入れることで、単なる介護支援にとどまらず、個別性の高いプログラムが提供可能となり、機能訓練の実効性が高まります。

✅ 重度化防止・ADL維持による地域生活の継続

早期介入による生活機能の維持・向上は、施設入所や医療依存度の増加を防ぎ、在宅生活の継続に大きく寄与します。

✅ 施設の評価・差別化

制度への理解と実践が進んでいる施設は、家族やケアマネジャーからの信頼度も向上し、利用者確保・地域内での評価向上にもつながります。


■ 算定のための準備・運用のポイント

  • 外部の理学療法士や作業療法士との連携体制の整備(契約書の締結等)
  • 専門職によるアセスメントのための訪問日程調整・記録様式の整備
  • 職員への生活機能向上に関する研修・意識改革
  • 個別計画に基づいた記録・フィードバックの運用体制
  • モニタリング結果のケアマネへの報告・共有体制の確立

■ よくある疑問・課題

Q. 外部のリハビリ専門職がいない場合はどうする?
→ 地域の訪問看護ステーションやクリニック、リハビリ事業所との連携が可能です。医師の指示のもとで協働できる体制を整えましょう。

Q. アセスメントや助言の内容はどう記録すればよい?
→ 厚生労働省や自治体が出している様式例を参考に、評価票・助言書・記録簿などを整備するとよいでしょう。


■ まとめ

「生活機能向上連携加算」は、介護サービスに医療の力を取り入れることで、より質の高い支援を実現する取り組みです。
利用者の尊厳ある暮らしを支えるとともに、介護職とリハ職が互いの専門性を尊重し合いながら連携を深めることで、地域包括ケアの真の実現にもつながります。

今後、さらなる制度改定や報酬の変化も予想されますが、生活機能の維持・向上はいつの時代も重要課題。ぜひ積極的に本加算の導入を検討し、利用者と施設の未来をより良いものにしていきましょう。

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