
~開業前の注意点~
1. はじめに
福祉・介護事業を始めるには、「法人の設立」と「サービスの指定申請」の2つが必要です。
しかし、これらには明確な順序があり、順番を間違えると開業が大幅に遅れてしまうこともあります。
2. 法人設立と指定申請の関係
項目 | 内容 |
---|---|
法人設立 | 法人格(株式会社、合同会社、NPO法人など)を取得する手続き。 |
指定申請 | 自治体に対してサービス提供事業者として認可を得る手続き。 |
✅ ポイント:指定申請は「法人格を有する団体」でなければできません。
3. 正しい順序:法人設立 → 指定申請
Step1:法人を設立する
- 定款作成
- 登記申請(法務局)
- 法人番号・登記簿謄本取得
Step2:指定申請の準備
- 事業所の確保(賃貸契約など)
- 人員要件・設備要件の確認
- 申請書類の作成
Step3:自治体に指定申請
- 原則、サービス開始予定日の2ヶ月前までに申請
- 書類審査・実地調査を経て、指定決定
4. 【法人設立の選択肢】株式会社と合同会社の違い
福祉事業の法人格としては「株式会社」または「合同会社」が一般的です。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、事業の方針に合わせて選びましょう。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立費用 | 約20万円 | 約6~10万円 |
設立のしやすさ | やや複雑 | 比較的簡単 |
役員の構成 | 取締役・株主が必要 | 社員(出資者)で完結 |
社会的信用 | 高い(銀行融資などで有利) | やや低め |
利益配分 | 出資比率に応じる | 自由に決定可能 |
管理運営 | 取締役会などの制度あり | 柔軟な運営が可能 |
変更・解散時 | 費用・手続きが複雑 | 比較的簡単 |
✅ 開業初期コストを抑えたい → 合同会社
✅ 将来的に事業拡大・融資を重視したい → 株式会社
5. よくある間違い・注意点
間違い | 解説 |
---|---|
個人名義で物件を契約してしまった | 事業用物件は「法人名義」での契約が必要です。後から変更が必要になると手間とコストがかかります。 |
設立後すぐに申請しようとして書類が間に合わない | 指定申請には事業計画・人員配置表・収支計画など多くの書類が必要。事前に準備しておくことが大切です。 |
開業日を早く設定しすぎた | 審査や実地調査に時間がかかるため、スケジュールに余裕を持ちましょう。 |
6. 開業スケジュールのモデル
月 | 作業内容 |
---|---|
1月 | 法人設立、事業所探し |
2月 | 物件契約、人員採用・調整 |
3月 | 指定申請書類作成・提出 |
4月 | 指定審査・実地調査 |
5月 | 指定通知・サービス開始 |
7. まとめ
- 法人設立が先、指定申請はその後!
- 株式会社 or 合同会社、事業方針に応じて選ぶ
- 書類準備・スケジュールに余裕を持つことが成功のカギ
当事務所では、開業支援だけでなく運営指導対策や処遇改善計画書の作成や様々な研修・委員会を実施しています。
ぜひお気軽にご相談ください。