
はじめに
介護サービスや障がい福祉サービスを提供するには、まず自治体から「指定」を受ける必要があります。この指定を受けるための手続きが「指定申請」です。
これから事業を始めたい方にとって、指定申請は避けて通れない第一歩でありながら、必要書類の多さや手続きの複雑さに戸惑う方も多いのではないでしょうか?
この記事では、介護サービスと障がい福祉サービスの共通点と違いをふまえながら、指定申請の基本、申請の流れ、注意点について解説します。
指定申請とは?
「指定申請」とは、介護保険法や障害者総合支援法などに基づき、サービス提供のために都道府県や市区町村の認可を得る手続きのことです。
指定を受けることで、事業者は公費による報酬請求(給付費)を行うことが可能になります。
指定を受ける必要があるサービスの例
◆ 介護保険サービス(都道府県・市区町村の指定)
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 通所介護(デイサービス)
- 居宅介護支援(ケアマネ事業所)
- 短期入所(ショートステイ)
- 福祉用具貸与・販売 など
◆ 障がい福祉サービス(都道府県・市区町村の指定)
- 就労継続支援A型・B型
- 生活介護
- 共同生活援助(グループホーム)
- 居宅介護・重度訪問介護
- 放課後等デイサービス・児童発達支援
指定申請の流れ(共通の基本ステップ)
- 法人設立(株式会社、合同会社、NPO法人など)
- 事業所の物件確保(建築基準・面積要件など)
- 人員要件の確認と配置(管理者・有資格者など)
- 必要書類の準備(運営規程、契約書、資格証明など)
- 自治体への事前相談(推奨または必須)
- 申請書の提出 → 審査・補正 → 指定通知交付
- 事業開始・報酬請求の手続きへ
介護と障がい福祉で異なるポイント
比較項目 | 介護サービス | 障がい福祉サービス |
---|---|---|
根拠法令 | 介護保険法 | 障害者総合支援法/児童福祉法 |
指定先 | 都道府県または市町村 | 都道府県または市町村 |
報酬体系 | 介護報酬(単位制) | 障がい福祉報酬(単位制) |
開業スケジュール | 毎月1日開始が基本 | 毎月1日または15日開始(地域差あり) |
指定申請の際の注意点
- 申請期限に注意:地域によって締切日は異なり、1~2か月前に締切が設定されていることが多い。
- 書類不備に注意:少しのミスでも補正対象になり、申請が遅延する可能性があります。
- 人員基準の確認:資格保有者の要件・雇用形態に不備がないか事前に確認が必要です。
- 物件の使用確認:用途地域や消防法令への適合など、行政の事前確認が推奨されます。
専門家に依頼するメリット
指定申請は専門性が高く、自治体ごとに求められる書類も異なります。
行政書士・社会保険労務士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります:
- 書類作成のミスを防げる
- 開業スケジュールを逆算して準備できる
- 自治体との対応をスムーズに進められる
まとめ
介護・障がい福祉サービスの指定申請は、制度を正しく理解し、スケジュールを見越して丁寧に準備することが大切です。
この記事を参考に、ぜひ万全な体制で申請に臨んでください。必要に応じて専門家のアドバイスも活用しましょう。