
介護・障がい福祉サービスの開業は、地域社会への貢献とやりがいのある仕事のスタート。しかし、事業を軌道に乗せるまでには予想外のトラブルが発生することも少なくありません。この記事では、介護・福祉事業に特化した「開業初期によくあるトラブル」と「その具体的な対策」について解説します。
目次
- 利用者が集まらない・紹介が少ない
- 人材確保と定着に苦戦する
- 行政手続きや運営基準の理解不足
- 報酬請求(給付管理・実績報告)のミス
- 地域・関係機関との連携不足
- トラブルを未然に防ぐためのポイント
1. 利用者が集まらない・紹介が少ない
よくある状況:
- 事業指定を取得したものの、地域に認知されておらず利用者が集まらない
- 相談支援専門員や居宅介護支援事業所との関係構築が不十分
対策:
- 開業前後で地域の居宅・相談支援事業所に挨拶訪問を行う
- 自社パンフレット・サービス案内を配布し、定期的に連絡をとる
- 実績がなくても、丁寧な姿勢や「対応力」で信頼を得る
2. 人材確保と定着に苦戦する
よくある状況:
- 募集をかけても応募が少ない
- 入職後すぐに退職される
- 有資格者の採用が難しい
対策:
- 開業初期こそ「柔軟なシフト」「丁寧な研修」で働きやすさを強調
- SNSや求人サイトで「事業所の想い」「働きやすさ」をアピール
- ハローワークや地域福祉人材センターを活用する
3. 行政手続きや運営基準の理解不足
よくある状況:
- 運営指導で指摘を受ける
- 運営規定や人員配置に不備が見つかる
対策:
- 指定取得時だけでなく「運営後の法令遵守」にも常にアンテナを張る
- 行政書士や社会保険労務士、福祉専門のコンサルタントに相談する
- 都道府県・市町村主催の説明会・研修に参加する
4. 報酬請求(給付管理・実績報告)のミス
よくある状況:
- 実績入力の誤りにより報酬請求が通らない
- 加算算定の条件を正しく理解していない
対策:
- 開業前から請求ソフトの導入とマニュアル整備を行う
- 「給付管理の流れ」「実績報告の方法」を職員全体で共有する
- 指導監査や過誤返戻への対応フローを作っておく
5. 地域・関係機関との連携不足
よくある状況:
- 相談支援との情報共有が不十分
- 医療機関・多職種との連携が取りにくい
対策:
- ケア会議や個別支援会議には積極的に参加する
- 定期的に連絡をとる「地域連携帳簿」や「報告書」を用意する
- 利用者の生活全体を支える意識で関係機関との信頼構築を図る
6. トラブルを未然に防ぐためのポイント
- 開業準備の段階で「業務フロー」と「職務分掌」を明確にする
- 職員間で定期的なミーティングを行い、情報を共有する
- 利用者や家族との丁寧なコミュニケーションを大切にする
- 開業後3ヶ月・6ヶ月・1年の節目で「振り返りと改善」を実施する
まとめ
介護・障がい福祉サービスは人と人との信頼が土台にある事業です。開業直後は慣れないことや予想外の出来事も多くありますが、「丁寧な準備」と「継続的な見直し」によってトラブルの多くは回避できます。
失敗を恐れず、ひとつずつ課題をクリアしながら地域に根ざした事業所づくりを目指しましょう。
当事務所では、運営指導対策や処遇改善計画書(実績報告書)の作成、研修・委員会(法定内・法定外)等の様々なメニューを取り揃えております。
ぜひお気軽にご相談ください。