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中重度者ケア体制加算について詳しく解説!

中重度者ケア体制加算について徹底解説

はじめに

高齢化が進む日本社会において、通所介護(デイサービス)は、利用者の自立支援とご家族の負担軽減において重要な役割を担っています。なかでも、要介護度が高く、医療的なケアや認知症対応が必要な方々(中重度者)への支援は、より専門性と体制整備が求められます。

このような背景から、厚生労働省は「中重度者ケア体制加算」という報酬加算を設け、積極的に中重度者を受け入れ、質の高いサービス提供を行う通所介護事業所を支援しています。


■ 中重度者ケア体制加算とは?

「中重度者ケア体制加算」とは、要介護3以上の利用者が一定割合以上を占める通所介護事業所が、質の高いケアを提供する体制を整えている場合に、基本報酬に上乗せして加算できる制度です。

この加算の目的は、重度の身体的・認知的制約を抱える高齢者が、住み慣れた地域で安心して通所介護サービスを受けられる体制を整備することにあります。


■ 算定要件と具体的な条件

中重度者ケア体制加算を算定するには、以下のような明確な要件を満たす必要があります。

1. 要介護度3以上の利用者が全体の50%以上

算定月において、要介護3~5の利用者の延べ利用回数が総延べ利用回数の50%以上であることが必要です。
これは、単なる登録人数ではなく、実際のサービス提供実績に基づいた比率で算出されます。

2. 医療的ケア・認知症対応が可能な職員体制

重度者対応には、以下のような人員配置やスキルが求められます。

  • 看護師や機能訓練指導員の常駐による医療的対応
  • 認知症対応研修修了者の配置
  • 食事・排泄・移乗など介助を要する場面での支援体制
  • 専門的な介護計画の作成・実施

3. 適切な記録とマネジメント体制の整備

算定には、加算対象者に対してどのような支援が行われているかの記録と実績報告が必要です。また、職員への定期的な研修実施も要件の一つです。


■ 実際の取り組み事例

以下は、加算を取得している通所介護事業所で見られる具体的な取り組みです。

  • 個別機能訓練計画に基づくリハビリの実施
    → 利用者の身体機能維持や拘縮予防に貢献
  • 日常生活動作(ADL)のモニタリングと評価
    → 排泄・移動・更衣など生活の質向上に直結する支援の提供
  • 看取り期に向けた在宅支援との連携
    → 家族や訪問看護との密な連携体制の構築
  • 認知症ケアチームの編成
    → 専門職が連携し、行動心理症状(BPSD)への対応力を強化

■ 加算を取得するメリット

◆ 利用者にとってのメリット

  • より専門的・個別的なケアを受けられることで、在宅生活の継続可能性が高まる
  • 介護者(家族)への負担軽減と心理的安心感につながる

◆ 事業所にとってのメリット

  • 医療的ケアや専門的支援体制に対する投資が報酬として評価される
  • 地域包括ケアの一翼を担う重要なポジションとして信頼と実績を築ける

■ 注意すべき点とリスク管理

中重度者ケア体制加算の取得には、正確な運営・記録・体制整備が不可欠です。特に以下の点には注意が必要です。

  • 毎月の利用実績データの正確な集計(不備があると返還対象となる恐れあり)
  • 職員の研修受講歴や体制変更の記録の管理
  • 加算取得によって、運営指導・実地指導の際に重点的に確認される可能性があるため、記録と運営マニュアルの整備が求められます。

■ 今後の展望と事業所としての戦略

高齢者の中重度化が進む中で、「中重度者ケア体制加算」は今後さらに重要性を増していくと考えられます。事業所としては、単なる報酬加算の取得を目的とするのではなく、ケアの質を高め、地域から選ばれる施設づくりを目指すべきです。

そのためには、

  • 職員研修の継続とスキルアップ
  • 利用者と家族の声を反映したサービス改善
  • 医療・訪問系サービスとの多職種連携の強化

といった取り組みが求められます。


■ まとめ

「中重度者ケア体制加算」は、単なる加算の枠を超え、地域包括ケアの中核を担う通所介護のあり方を問う制度です。
要介護3以上の方々にとって、通所介護が安全で安心な居場所となるよう、事業所は体制の整備と職員の資質向上に取り組むことが大切です。

正しく理解し、制度の趣旨に沿って運用すれば、利用者・家族・事業所のすべてにとってプラスとなる取り組みとなるはずです。


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通所介護(デイサービス)の加算に関する記事はこちら

「個別機能訓練加算について」を大阪の乾行政書士事務所が徹底解説
「通所介護の認知症加算について」大阪の乾行政書士事務所が徹底解説
「通所介護のADL維持加算について」を大阪の乾行政書士事務所が解説

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