成年後見制度の基本から実務まで解説!!

成年後見制度とは認知症・知的障害・精神障害などによって、判断能力が不十分な方に援助者(後見人)を選び支援する制度です。

支援内容:契約の代行(施設・病院等の契約)、不当な契約の取消、銀行の手続き、各支払い
※成年後見制度は、認知症の方だけではなく、知的障害や精神障害の方も利用できます。

成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があります。
任意後見•••元気なときに、将来、誰に財産管理や施設の契約等をしてもらうかをあらかじめ契約書(公正証書)で決めておく事。
キーポイント:自分で後見人を選べるということ。
法定後見•••ご本人が認知症等になった後、家庭裁判所によって、後見人が選ばれる制度。
キーポイント:家庭裁判所が後見人を決める。(この人にお願いしたいと要望は出せるが、100%その人が選定されるわけではないです)

次に法定後見の類型をみていきましょう。
補助(判断能力 不十分)
保佐(判断能力 著しく不十分)
後見(判断能力が欠けている)  
キーポイント:判断能力のレベルで分けられています。

補助」は後見人が取り消しできる行為又は同意できることは、民法13条1項の一部です。
民法13条1項・・・借金、相続の承認や放棄、訴訟行為、新築や増改築など
代理権については、申立により裁判所が決めます。
注意:補助開始の審判、補助人に同意権・代理権を与える場合は、本人の同意が必要です。

保佐」は後見人が取り消しできる行為又は同意できることは、民法13条1項記載の行為のほか、申立てにより裁判所が定める行為です。
代理権については申立により裁判所が決めます。
注意:保佐人に代理権を与える場合は、本人の同意が必要です。
比較:補助とは違い、代理権を与える場合に本人の同意が必要です。

後見」は後見人が取り消しできる行為又は同意できることは、原則としてすべての法律行為
代理権・・・原則として、すべての法律行為
※日用品の購入等は取り消すことができないです

ここで、同意権と代理権について説明していきます。

同意権」とは被後見人Aが第三者Bとした法律行為に後見人Cが同意して、その法律行為の効果を確定させること。
代理権」とは後見人Cが被後見人に代わり第三者Bと法律行為をすること。

次は、任意後見・法定後見の手続を比較しながらみていきます。

任意後見の手続きの流れ法定後見の手続きの流れ
1       任意後見契約の締結
2       判断能力低下(認知症になった)
3       任意後見監督人の申立(家庭裁判所へ)
4       任意後見監督人が選ばれる
5       1で締結した任意後見契約効力発生
1       家庭裁判所に申立する※必要書類の準備必要
2       家庭裁判所に相談予約
3       家庭裁判所と話し合い
4       審判確定 ※後見人が選任される
5       選任後1ヶ月以内に家庭裁判所に財産目録及び
収支予定表を提出
6       日常業務 年に1回家庭裁判所へ報告

次に成年後見人の仕事を説明していきますね。
本人の不動産や預貯金等の財産を管理したり、必要な福祉サービスや医療が受けられるよう、利用契約の締結や医療費の支払などを行ったりします。
注意!!食事の世話や介護は、成年後見人等の仕事ではありません。
成年後見人はその事務について家庭裁判所に報告し、家庭裁判所もしくは成年後見監督人等の監督を受けます。
1.後見人として選定された後、すぐに本人と面談します。面談し、現在の生活状況や財産を把握します。
2.金融機関等へ必要な届出を行います。金融機関とやり取りをし、口座の名義人を変更する必要があります。
3.財産目録及び収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。把握した被後見人の状況や財産を書面におこします。
「財産目録」とは、ご本人の財産がどれくらいあるかを書いた書面
「収支予定表」とは、ご本人の収入と支出の予定
4.財産目録及び収支予定表を見て、本人に合った生活やお金をどう使っていくかを検討する。
5.日常の支払いや収入を管理する。
※出納帳作成、領収書整理、通帳の記帳、各支払いを行います。
6.後見人の仕事は被後見人の判断能力の回復又は死亡するまで続きます。
※家庭裁判所へ被後見人の死亡報告、法務局へ終了の登記をする。
「管理計算業務」後見終了時の財産を確定させます。また、関係先に連絡をし、債務を支払います。
※病院や施設の支払い
「応急処分義務」病院からの依頼で遺体、動産等の引き取りがありますが、後見人の義務ではないです。 ただし、相続人がいない場合、親族が高齢の場合は、やむなく行う場合があります。
「引継義務」財産の計算終了後は早急に相続人に引渡す。

以上になります。実際の財産管理業務をみても、かなり複雑です。また、財産管理業務以外に施設入所契約や契約の取消等の多岐にわたる業務をしなければなりません。
「成年後見について相談したい」「自分が認知症になった時が不安」等の悩みがある方、当事務所に相談してみませんか?初回相談は、無料です。お気軽にご相談下さい。



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