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介護・障がい福祉事業所では、職員との「面談」を実施している法人も多いのではないでしょうか。
しかし、
「面談をしているけれど、あまり本音を聞けていない」
「毎回同じような話で終わってしまう」
「面談の内容がその後の業務改善につながっていない」
と感じている事業所もあるかもしれません。
職員面談は、単に職員の話を聞くための時間ではありません。
うまく活用すれば、職員の悩みや不満を早期に把握し、離職防止や人材育成、職場環境の改善につなげるための重要な機会になります。
今回は、介護・障がい福祉事業所で職員面談を有効活用するためのポイントについて解説します。
職員面談というと、
「仕事ができているか」
「問題行動はないか」
「目標を達成しているか」
などを確認する場だと考えがちです。
もちろん、業務上の評価や目標について話し合うことも重要です。
しかし、それだけでは職員面談のメリットを十分に活かすことができません。
面談では、
などについても確認することが大切です。
「評価するための面談」から「職員を理解するための面談」へと考え方を広げることで、面談の価値は大きく変わります。
管理者が面談でやってしまいがちなのが、管理者ばかりが話してしまうことです。
「最近どう?」
と質問した後、
「人手不足だから頑張ってほしい」
「もっと積極的に動いてほしい」
「この部分を改善してほしい」
と管理者からの話が続いてしまうと、職員は自分の話をする機会を失ってしまいます。
面談では、管理者が答えを出すことよりも、まず職員の話を聞くことが重要です。
例えば、
「最近、仕事をしていて困っていることはありますか?」
「今の業務で負担に感じていることはありますか?」
「利用者さんへの支援で悩んでいることはありますか?」
「職場について改善したほうがいいと思うことはありますか?」
など、具体的な質問を用意しておくと話しやすくなります。
面談でよくあるのが、
「何か困っていることはありませんか?」
という質問です。
しかし、この質問だけでは、
「特にありません」
「大丈夫です」
で終わってしまうことがあります。
職員からすると、
「何を話していいのか分からない」
「こんなことを言っていいのか分からない」
「管理者に話しても変わらないだろう」
と考えている可能性もあります。
そのため、質問を少し具体的にすることがポイントです。
例えば、
「最近、業務量が多いと感じることはありますか?」
「他の職員との連携で困ることはありませんか?」
「もっとこうしたほうが仕事がしやすいと思うことはありますか?」
など、答えやすい質問から始めるとよいでしょう。
職員面談では、大きな問題だけを探す必要はありません。
むしろ重要なのは、普段は表に出にくい小さな不満や違和感です。
例えば、
「申し送りが分かりにくい」
「記録に時間がかかる」
「特定の職員に負担が集中している」
「相談したいけれど、忙しそうで声をかけにくい」
といった話です。
一つひとつは小さな問題に見えるかもしれません。
しかし、こうした状態が長期間続くと、職員のストレスや不満につながる可能性があります。
そのため、面談では「大きな問題がないか」だけではなく、日常業務の中にある小さな違和感を拾うことが重要です。
職員面談で最も避けたいのは、「話を聞いて終わり」になってしまうことです。
職員が勇気を出して相談したにもかかわらず、その後何も変わらなければ、
「言っても無駄」という気持ちにつながる可能性があります。
もちろん、職員から出た要望をすべて実現することはできません。
しかし、
「すぐに対応できること」
「時間をかけて検討すること」
「現時点では対応が難しいこと」
を整理し、可能な範囲で本人に伝えることが大切です。
例えば、
「その点については来月までに改善方法を検討します」
「すぐに変更することは難しいですが、管理者間で共有します」
など、何らかの形でフィードバックすることで、面談が組織改善につながっていきます。
職員面談で聞いた内容を管理者の記憶だけで管理することもおすすめできません。
複数の職員と面談していると、「誰が何を話していたのか」「以前どんな相談があったのか」
が分からなくなってしまうことがあります。
そのため、必要な範囲で面談記録を残しておくことが重要です。
例えば、
などを整理しておけば、継続的なフォローがしやすくなります。
ただし、面談では個人的な悩みなど、慎重に扱うべき情報が出てくる場合もあります。
記録を残す場合には、誰が閲覧できるのか、どのように管理するのかについても、法人としてルールを決めておくことが大切です。
職員面談は、一度実施すれば十分というものではありません。
職員の状況は時間とともに変化します。
採用直後には、「仕事の流れが分からない」という悩みだったものが、数か月後には、
「もっと専門的な仕事に挑戦したい」という悩みに変わることもあります。
また、職員本人が最初の面談では話せなかったことを、何度か面談をする中で話してくれる場合もあります。
そのため、
など、事業所の規模や体制に応じて継続的に実施することが大切です。
職員面談は、人材育成の機会としても活用できます。
例えば、
「今後どんな仕事をしてみたいですか?」
「どんな知識や資格を身につけたいですか?」
「今よりできるようになりたいことはありますか?」
といった質問をしてみましょう。
職員本人が自分の将来について考えるきっかけになります。
また、管理者側からも、
「あなたにはこの部分を期待しています」
「今後はこの業務を任せてみたい」
と伝えることで、職員の成長につながる可能性があります。
ただ仕事をしてもらうだけではなく、職員が成長できる道筋を一緒に考えることが重要です。
面談というと、改善点や問題点を話す場になりがちです。
しかし、それだけでは職員にとって面談が「注意される時間」になってしまいます。
そのため、
「最近、利用者さんへの声かけが丁寧になりましたね」
「他の職員へのフォローをしてくれて助かっています」
「以前相談していたことが改善されましたね」
など、良かった点もしっかり伝えましょう。
職員が自分の仕事を見てもらえていると感じることは、モチベーションにもつながります。
法人や事業所によっては、複数の管理者や責任者が職員面談を行うこともあります。
その場合、担当者によって質問内容や面談の基準が大きく異なると、職員間で不公平感が生じる可能性があります。
そこで、
などについて、ある程度の共通ルールをつくっておくとよいでしょう。
面談を「担当者個人のやり方」に任せすぎないことも、組織として面談を活用するポイントです。
職員面談を続けていると、管理者自身がさまざまな相談を受けることになります。
その中には、
「人間関係の問題」
「勤務に関する問題」
「ハラスメントに関する相談」
「メンタル面の悩み」
「利用者支援に関する重大な相談」
など、管理者だけでは判断が難しいものもあります。
このような場合、管理者が一人で抱え込むのではなく、法人内で必要な範囲で共有し、適切な担当者や専門家に相談できる体制をつくっておくことが重要です。
面談を充実させることは、管理者の仕事を増やすことではありません。
相談を組織として受け止められる仕組みをつくることが大切です。
職員面談を複数回実施すると、個人の問題だけではなく、事業所全体の課題が見えてくることがあります。
例えば複数の職員から、
「情報共有が足りない」
「管理者に相談しにくい」
「業務分担が分かりにくい」
という話が出てくるのであれば、それは個人の問題ではなく、組織の仕組みに原因がある可能性があります。
このような場合は、「この職員が悪い」と考えるのではなく、
「事業所の仕組みに改善できる部分はないか」
と考えることが重要です。
職員面談を個人の評価だけに使うのではなく、法人・事業所全体を改善するための情報源として活用することで、大きな価値が生まれます。
介護・障がい福祉事業所において、職員面談は人材定着や職場環境の改善に役立つ重要な機会です。
ただし、面談を実施すること自体が目的になってしまうと、十分な効果を得ることはできません。
重要なのは、
といったポイントです。
職員面談は、単なる「話し合いの時間」ではありません。
職員が安心して働ける環境をつくり、職員の成長を支援し、事業所の問題を早期に発見するための大切な仕組みです。
「面談を実施する事業所」から「面談を組織づくりに活かす事業所」へ。
職員との対話を継続することが、長く安定して運営できる介護・障がい福祉事業所づくりにつながっていきます。
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