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介護・障がい福祉事業所を運営していると、経営者と管理者の両方がさまざまな業務を抱えていることがあります。
特に小規模な事業所では、
「経営者が現場の細かいことまで判断している」
「管理者が経営に関することまで一人で抱えている」
「何か問題が起きると、すべて経営者に確認する」
「管理者がいないと現場が回らない」
といった状況になりやすいものです。
もちろん、法人の規模や事業所の体制によって、経営者と管理者が担う業務には違いがあります。
しかし、長期的に安定した事業所運営を目指すのであれば、経営者と管理者がそれぞれの役割を理解し、適切に分担することが重要です。
今回は、経営者と管理者の役割分担がなぜ重要なのかについて解説します。
まず理解しておきたいのは、経営者と管理者では基本的な役割が異なるということです。
簡単に整理すると、
経営者は「法人・事業の方向性を決める立場」。
管理者は「決められた方向性に沿って、事業所を運営する立場」。
という考え方ができます。
もちろん、実際には両者の業務が重なる部分もあります。
しかし、
「誰が何を決めるのか」
「誰が現場を管理するのか」
「誰が最終的な経営判断をするのか」
が曖昧になっていると、組織がうまく機能しなくなることがあります。
経営者には、法人全体を長期的な視点から考える役割があります。
例えば、
・法人の経営方針を決める
・事業の方向性を考える
・人材や設備への投資を判断する
・収支を管理する
・事業を継続するための経営判断をする
・新規事業や事業拡大を検討する
・法人全体のリスクを管理する
などです。
経営者は、今日の現場を回すことだけではなく、
「この法人を今後どうしていくのか」
という視点を持つ必要があります。
一方、管理者は事業所の日々の運営を管理する重要な立場です。
例えば、
・職員の勤務状況を把握する
・業務の進捗を確認する
・職員間の連携を図る
・利用者へのサービス提供状況を確認する
・現場の問題を把握する
・職員からの相談に対応する
・必要な報告や記録を確認する
・事業所内のルールを周知する
などがあります。
つまり、管理者は現場と経営者をつなぐ役割も担っています。
現場で何が起きているのかを把握し、それを必要に応じて経営者へ伝えることも重要です。
経営者と管理者の役割が明確になっていないと、同じ仕事を二人が確認するような状態になることがあります。
例えば、管理者が職員に指示を出した後に、経営者が別の指示を出すケースです。
職員からすると、
「結局、どちらの指示に従えばいいのか分からない」
という状況になってしまいます。
指示系統が複雑になると、現場の混乱につながります。
そのため、
「誰が何を決めるのか」
を明確にしておくことが大切です。
経営者が現場をよく理解していることは、決して悪いことではありません。
むしろ、現場を理解している経営者は大きな強みを持っています。
しかし、現場で発生する細かな問題まで経営者がすべて判断していると、管理者が自分で考えて判断する機会が減ってしまいます。
例えば、
「この職員の勤務についてどうしますか?」
「この利用者への対応はどうしますか?」
「この業務はどのように変更しますか?」
と、何でも経営者に確認する状態です。
これでは、管理者が「管理する人」ではなく、単なる「経営者への確認役」になってしまいます。
管理者に仕事を任せるためには、権限も必要です。
「管理者として運営してください」
と言いながら、何を決めても経営者の許可が必要という状態では、管理者は判断できません。
例えば、
・職員への業務上の指示
・現場の業務改善
・情報共有の方法
・職員間の調整
など、一定の範囲については管理者が判断できるようにすることが重要です。
もちろん、重要な経営判断や法人としての重要事項については、経営者が判断する必要があります。
大切なのは、管理者に任せる範囲を明確にすることです。
役割分担というと、「管理者にどこまで任せるか」だけを考えがちです。
しかし、
「どのようなことが起きたら経営者に報告するのか」
を決めておくことも重要です。
例えば、
・重大な事故
・重大な苦情
・職員間の深刻な問題
・法令上の問題が疑われる事案
・行政からの重要な連絡
・大きな収支への影響が見込まれる問題
などです。
こうした事項について報告ルールを決めておけば、経営者が重要な情報を知らないままになることを防ぎやすくなります。
経営者が管理者に仕事を任せることは重要ですが、「管理者に任せたから、あとは何もしない」という意味ではありません。
適切な役割分担では、任せる → 報告を受ける → 必要に応じて支援するという流れが重要です。
管理者が判断できる範囲は任せながら、法人全体に影響する問題については経営者が把握する。
このバランスが大切です。
役割分担を機能させるためには、情報共有も欠かせません。
例えば、月1回など定期的に、
・利用者の状況
・職員の状況
・事故や苦情
・業務上の課題
・収支の状況
・今後の予定
などを共有する機会を設けます。
経営者が現場のすべてを細かく管理する必要はありません。
一方で、重要な情報が経営者に届かない状態も避ける必要があります。
役割分担を考えるうえで、一つの考え方として、経営者は「将来」を見る。
管理者は「現在の現場」を見る。という整理があります。
経営者は、「この法人を5年後、10年後どうしていくのか」を考えます。
管理者は、「今日、現場をどうすれば安全かつ適切に運営できるのか」を考えます。
もちろん完全に分けられるものではありませんが、それぞれが異なる視点を持つことで、組織全体のバランスが取りやすくなります。
管理者が責任感の強い人であるほど、「自分が何とかしなければ」と考えてしまいます。
しかし、すべての問題を管理者一人で抱えると、管理者自身が疲弊してしまいます。
さらに、経営者が問題を把握できないままになる可能性もあります。
管理者は、「自分で解決できる問題」「経営者に相談すべき問題」を整理することが重要です。
経営者にとって、管理者は単なる「現場の責任者」ではありません。
将来的に法人を支える人材として育成するという視点も重要です。
そのためには、
・判断する機会を与える
・一定の権限を与える
・必要なときには助言する
・失敗したときには一緒に振り返る
といった関わり方が必要です。
管理者が成長すれば、経営者自身が現場から離れて経営に集中できる時間も増えていきます。
経営者と管理者が互いの役割を理解していると、「ここまでは管理者が判断する」「ここからは経営者が判断する」
という線引きができます。
その結果、
・現場の判断が早くなる
・職員が迷いにくくなる
・管理者が成長する
・経営者が経営に集中できる
・問題の報告が早くなる
といったメリットが期待できます。
反対に、役割が曖昧だと、問題が起きるたびに「誰が判断するのか」というところから話し合わなければならなくなります。
経営者と管理者の役割分担を考えるとき、「○○さんだから任せられる」という考え方だけに頼るのは危険です。
人が退職したり、管理者が交代したりすると、仕組みそのものが機能しなくなるからです。
そこで、
・役割分担表
・権限の範囲
・報告ルール
・会議体
・情報共有方法
などを整理しておくことが重要です。
誰が担当しても一定のルールで運営できる組織を目指すことが大切です。
経営者と管理者の役割分担が重要なのは、組織の意思決定を明確にし、管理者が適切な権限を持って現場を運営できるようにするためです。
特に重要なのは、
・経営者と管理者の役割を明確にする
・誰が何を決めるのかを整理する
・管理者に一定の権限を与える
・経営者へ報告する事項を明確にする
・定期的に情報共有する
・管理者に仕事を任せる
・経営者が必要なときに支援する
・役割分担を人ではなく仕組みとして整える
といった点です。
経営者がすべてを判断する組織も、管理者にすべてを任せて経営者が何も把握しない組織も、安定した運営につながるとは限りません。
大切なのは、「経営者が経営に集中し、管理者が現場を適切に管理し、それぞれが必要な情報を共有する」
という関係をつくることです。
経営者と管理者の役割が明確になれば、職員も「誰に相談すればよいのか」「誰が判断するのか」が分かりやすくなります。
そして、管理者が成長し、組織として判断できる範囲が広がれば、経営者への過度な業務集中も防ぐことができます。
事業所の規模が大きくなってきたときや、管理者が交代したときには、改めて経営者と管理者の役割分担を見直してみてはいかがでしょうか。
安定した法人経営は、経営者一人の力だけではなく、それぞれの立場が役割を果たす組織づくりから始まります。
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